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THE・武者戦記EX

ウルトラマンや特撮ヒーロー、アニソン・特ソン、舞台等を中心に扱っています。最近はTwitterにいます。

第一話「戦いの予兆~Sign of fierce fight~」

以前書いたウルトラマンサレン第1話「戦いの予兆」(http://ayushinex.blog37.fc2.com/blog-entry-111.html)の修正版です。かなりの部分を修正しています。
サブタイトルも一部変更しました。
ちなみに、数字が漢数字になっているのは、縦書きにするためです。
追記で読んでください。
では、どうぞ。
ウルトラマンサレン

第一話「戦いの予兆~Sign of fierce fight~」  「今日から新しく『J-SIC』に入る隊員を紹介する」
吉野隊長が言った。司令室内に沈黙が走る。今日は四年に一度の新人隊員が入隊する日。J-SIC隊員養成所で優秀な成績を誇っていた一名が、このJ-SICに入隊するのだ。

 J-SICというのは、怪獣や宇宙人が現れなくなり、戦う相手がいなくなったため解散した「GUYS(Guards for UtilitY Situation=あらゆる状況に対応する防衛隊)」の代わりに建設された「SIC(Science Investigation Crew=科学調査隊)」の日本支部「Japan- Science Investigation Crew」(日本科学調査隊)」の略称だ。普段は、日本中の怪事件の調査・解決に努めているが、いつか起こるはずの怪獣復活にも備えている。って言っても怪獣は、二十二年前から一切出現してない。きっと、これからも…。
 ここで自己紹介でもしておこう。僕の名前は朝日光明、二十四歳。四年前にJ-SICに入隊した三期生だ。J-SICのエースパイロットだけど、まだ僕の腕前は隊の皆には披露できていない。J-SICに入ってからの四年間、未だに僕のパイロットとしての腕前が役に立つミッションに出くわしたことが無いからだ。……おっと、自己紹介はこの辺にしておいて、現実世界に戻ろう。
「その新人隊員とは、この五十嵐俊一君だ」
隊長の横に、今風の髪形をした俗に言うイケメンの青年が現れる。多分相当モテるんだろうな~、と羨ましく思った。その五十嵐という青年が口を開く。
「先程説明があった新人隊員の五十嵐俊一です。よろしくお願いします!」
ペコリと頭を下げる五十嵐隊員。室内に拍手が巻き起こる。隊長が説明を続ける。
「この五十嵐隊員は、J-SIC隊員養成所でトップの成績を誇っていた。二年前に養成所に入ったばかりだというのに凄く優秀で、教官の青木も驚いていたよ」
青木と言うのはJ-SIC隊員養成所の教官の一人。J-SICの一期生で、同期の隊長と共に様々なミッションをこなしていたらしい。
 ここで隊長について紹介しよう。吉野創吾、四十五歳。さっきも言ったようにJ-SIC一期生で、そのまま隊長に就任したんだ。趣味が機械いじりで、J-SICに配備されている戦闘機などを勝手に改造して、より質のいい戦闘機を作ったりしている。歴代防衛隊隊長の中では非常に異質。冷静で部下思いの隊長だ。今は、怪獣復活の時に備えて、重武装の戦闘機を作っている。どうせ一生、怪獣は出現しないと思うけどね。まあ、「備えあれば憂いなし」って言うからいいのかな?
 その隊長が五十嵐隊員に隊員の紹介を始める。
「このJ-SICには五十嵐隊員、君を含めて七人の隊員がいる。共に戦う仲間だから、しっかりと顔と名前を覚えるように。まずは、本田副隊長」
「はい! 本田力、副隊長だ!」
副隊長が大きな声で返事をして立ち、五十嵐隊員に向けてお辞儀をして、席に座った。
 ここで、副隊長の紹介でも。本名は本田力、三十二歳。副隊長も隊長と同じく、一期生で、ムードメーカーでもあるんだ。物凄い力持ちで柔道四段を持っているけど、意外と優しい。あ、意外とって言ったら副隊長に悪いか……(汗)。ミッションをする時は、現場指揮を執る。戦場の隊長ってところかな。
 「次は、松本隊員」
隊長が隊員紹介を続ける。松本隊員が無言で立ち上がり、一言言う。
「俺が松本慎也だ。最初に言っておくが、足手まといになるなよ」
そう言うと、松本隊員はすぐ元いた席に座った。
ここで、松本隊員の紹介をしよう、松本慎也、二十八歳。J-SICにいる唯一の二期生。僕はこの松本隊員が苦手。僕とは正反対の性格で、エリートぶっているからだ。どうやら父が、このJ-SIC建設に深く関わっているらしく、それが原因でそういう性格になったらしい。銃の腕前は百発百中で、狙った獲物は逃さない。
 「次は、上野隊員」
「はい! 上野健次です。よろしくお願いします!」
上野隊員が立ち上がり、お辞儀をして、席に座った。
 ここで上野隊員の紹介をしよう。上野健次、二十五歳。僕と同じく三期生で、僕は彼とは随分仲がいい。名プランナーで、ミッションの作戦はほとんど上野隊員が立案している。だけど、体力がないため、待機をする事が多い。さらに、実は怪獣のことが死ぬほど大好きらしい。変な趣味の男だ(笑)。
 「次は、朝日隊員」
僕の番だ。元気よく挨拶をして、良いイメージを与えなければ。
「はい! 朝日光明です。よろしくお願いします!」
よし、元気よく挨拶できたぞ。と僕は思ったが、隊長が語りかけてくる。
「朝日、ちゃんと立ってくれないか?」
「あ……」
自分が席を立たずに自己紹介をしていたことに気が付いた。僕はあわてて立ち上がってもう一度自己紹介をする。
「朝日光明です。よろしくお願いします」
……テンションダウンだ……。多分五十嵐隊員からの印象も悪くなったんだろうな……。ショック……。隊長は僕の気持ちに当たり前だが気付かず、隊員の紹介を続ける。
「そして、石田隊員」
J-SIC唯一の女性隊員が立ち上がり、挨拶をする。
「はい! 石田智美です。よろしくお願いします!」
それだけ言うと、元いた席に座る。
ここで、石田隊員の紹介もしておこう。石田智美、二十二歳。さっきも言ったように、J-SIC唯一の女性隊員。僕と上野隊員と同じく三期生で、仲はまあまあいい。医療班も兼務していて、頭が良く、とても優しい。主に、通信・分析が担当。
 隊長は、最後に自分の紹介をして隊員紹介を終える。
「最後はこの私、吉野創吾だ。このJ-SICの隊長だ。五十嵐隊員、何か分からない事があったら、この私や他の隊員たちに聞くんだぞ」
「はい!」
五十嵐隊員は元気良く挨拶をして、自分の席に座った。
 そして、少し間をおいて、また隊長が話し始める。
「よし、自己紹介も終わったところで、石田隊員!」
石田隊員がすかさず反応した。
「はい?」
「五十嵐隊員にこのJ-SIC基地の案内をしてきてくれ。……と言いたいところだが、そんなことよりもっと大事なのは、隊員同士の友情だろう。だから、皆で対話をしていてくれ」

 ――それから、僕たちと五十嵐隊員との楽しい対話タイムが始まった。隊長は対話に参加せず、隊長席から眺めている。
「ところで、五十嵐隊員は何でJ-SICに入ろうと思ったの?」
石田隊員が聞く。
「ウルトラマン……ウルトラマンと一緒に戦いたかったんです」
五十嵐隊員が答えた。ウルトラマンは怪獣と同じく二十二年間地球に現れていない。
「ウルトラマン?」
五十嵐隊員以外の隊員全員が口をそろえた。
「え?おかしい……でしょうか?」
今度は逆に五十嵐隊員に聞かれた。上野隊員が答える。
「だって、ウルトラマンと怪獣は二十二年前から出現していないんだよ。そして、もうこの地球に怪獣や宇宙人が現れることはないと思われている。怪獣が現れないってことは、ウルトラマンも現れないってことなんだ。残念だけど、君のその『ウルトラマンと戦いたい』という願いは叶うことはないな……」
寂しそうに言う上野隊員。絶対この人は怪獣が出現して欲しいと願っているはずだ。実際に出てきたら困るのは自分なのに(笑)。上野隊員の言葉に五十嵐隊員が反応する。
「いや、まあそうですけど、これからも怪獣が現れない、なんてことは断言できないし、このJ-SICに入っておけば、もし怪獣が復活した時に、ウルトラマンと一緒に戦える機会ができるかな、って思いましてね……」
そこに副隊長が割り込んでくる。
「ほら、上野隊員たち。入ってきたばかりの五十嵐隊員をそんなに責めるな! 夢を持つことは素晴らしいことだし、強い意志があっていいじゃないか」
上野隊員は丁寧に五十嵐隊員に謝った。
「あ、すみません……」
五十嵐隊員は笑いながら
「いやいや、謝る事はないですよ。怪獣が復活してウルトラマンが現れるなんてありえない事を考える僕が悪いんですから」
と、優しく返した。いい男だ。と、そこに松本隊員が割り込んできた。
「俺は、もし怪獣が復活したとしても、ウルトラマンは要らないと思っている」
その言葉に僕が聞く。
「どういう意味だ?」
松本隊員が答える。
「だから、ウルトラマンは要らない、と言ってるんだ。J-SICはまだ日本にその凄さをアピールできてない。ただただ怪事件の調査・解決を続けていたって、そんなのただの警察と同じさ。俺は、親父の名誉のために、このJ-SICの凄さを日本、いや世界にまでアピールしないといけないんだ。そのためには怪獣が必要だ。怪獣を倒すこと。それが、今のJ-SICに必要なんだよ。けど、ウルトラマンも出現する事によって手柄が奪われる。分かるか?ウルトラマンのせいで、このJ-SICの凄さを世界中に伝えられなくなることになるんだぞ!」
その言葉に石田隊員が食いつく。
「けど、その怪獣を倒せなかったら?」
松本隊員はその言葉に
「倒せなかったら…だと?おれは百発百中だ。狙った獲物は逃さない。俺が、たかが怪獣なんかに負けるわけが無い。過去の防衛隊は人間だけの力で怪獣に勝った回数は少ない。だが、今はその時とは違う! 時代は変わったんだ! 二十二年前と比べて……。技術、科学力、戦力、全てが一新している。メテオールだって、上からの許可を得れば、何時でも使えるようになったんだぞ! 負けるわけが無い、絶対負けるわけが無いんだよ。……そう思わないか?」
と反論した。メテオールとは「Much Extreme Technology of Extraterrestrial ORigin(地球外生物起源の超絶技術)」の略称で、超絶科学とも言う。過去に宇宙人が残した宇宙船や兵器、技術などを今は解散してしまっているGUYS総本部が研究して入手したオーバーテクノロジーのことだ。昔……今から二十二年前にCREW GYUSとメビウスと呼ばれるウルトラマンが共闘していた時代は、不明な点が多かったため上層部の許可を得ても、たった一分間しか使用できなかった。けど、今では許可を得ることによって何時でも使えるようになったんだ。と言っても、何度も言ってるけど二十二年前から怪獣は一切出現していないから使ったことはないけどね。
「でも……」
と五十嵐隊員が小声で言った時。トゥルルルルルルル。電話のベルが鳴り響いた。トゥルルルルルルル、トゥル…。さっと、石田隊員が受話器を取った。そして話し始める。
「はい、こちらJ-SIC本部司令室です。……はい。…………はい、え?その異常な地震と言うのは?……はい、そうですか。ありがとうございます。…………はい、天堕山ですね。……はい、分かりました。」
石田隊員はそう言うと、受話器を机の上に置いた。そして、隊長に向けて喋り出す。
「隊長、天堕山に異常な地震が多発しているそうで、その調査をして欲しい、と頼まれましたが、どうしましょうか?」
天堕山……。はて?どこかで、聞いたことがあるような気がする。何だろう……。隊長は
「分かった」
と答え、
「ところで、異常な地震というのは?」
と、逆に石田隊員に聞いた。
「どうやら、山の中では地震が起こっているのに、山の外では地震が起こってないそうです」
一瞬、司令室が静まり返った。そんな馬鹿な。そんなことはある訳ない。というか科学的に考えてありえない。僕を含めて誰もがそう思ったはずだ。
「……うむ、そうか…………」
いつもは冷静な隊長も、少し考えている。そして、
「上野隊員!」
と、上野隊員に話しかけた。
「はい!」
元気に返事をする上野隊員。妙に楽しそうだ。
「天堕山の近くに宿泊できる施設はあるか?」
「え~……っと……。宿泊できる施設ですね?……どれどれ?……見物客用のホテルの『天マウン』という施設がありますよ」
天マウン…か。面白いホテル名だな。しかし、隊長はそんなことにもいちいち突っ込まずに、一つ頷き、また石田隊員に対して話し始める。
「分かった。じゃあ石田隊員! 今すぐ行くからその『天マウン』で待っていてくれ、と伝えておいてくれ」
「はい、分かりました」
石田隊員はそう言い、再び受話器を取り、話しだす。
「……もしもし?……え~、すぐ行きますので、ふもとで待機しておいてください。…………はい。……はい。どういたしまして。では……」
そこまで言うと電話を切った。そして、受話器を所定地に置いてから隊の皆に言った。
「どうやら、最近天堕山はマグマの活動が活発になってきているそうです。もしかしたら調査中に噴火する可能性が少しあるそうです。それと、暑さに弱い人は気をつけてくださいね」
その言葉を聞いた皆は、上野隊員を見つめる。
「え?何みんな?僕が暑さにも弱いと思っているの?僕は、そこまで弱くないぞ!」
そこまで上野が言うと、隊長が入ってきた。
「みんなもそう思っているかもしれないが、この異常地震の原因は、天堕山のマグマが急に活動をし始めたからだ、と私は見ている。五十嵐隊員を含む七人でのミッションは当然ながら初めてだ。気合いを入れていけよ。私はここに待機する。石田隊員もここに待機し、レーダーを使って天堕山付近に異常がないか調べてくれ。上野、松本、朝日、五十嵐は今すぐ現場に急いで急行してくれ。異常地震の原因を突き止めてくれ。作戦は上野隊員に立ててもらう。指揮はもちろん、副隊長……君に任せる。松本隊員と朝日隊員は五十嵐隊員と共に山内を調査してくれ。五十嵐隊員に何かあった時は頼んだぞ……」
室内が緊迫する。隊長が叫ぶ。
「J-SIC、Sally Go!」
全員が口を合わせてこう答える。
「J.I.G!」

こうしてJ-SICの、五十嵐隊員を合わせた七人での戦いの幕が開いたのであった。しかし、この戦いが本当に全ての始まりになるとは、まだ誰も知らなかった……。

つづく

次回予告
天堕山に起きている異常地震の原因とは? そして、天堕山には何が潜んでいるのだろうか?
次回、第二話「新戦士~Hero of electricity~」に……続く!
サレナビ
「J.I.G!」とは、「ジェーシック・イズ・グリーン」の頭文字をとった言葉だ。J-SICの状態は良好、準備オーケー、まかせとけ! といった意味で、J-SIC内では「了解!」の代わりに使われているんだ。
『ウルトラマンメビウス』でCREW GUYSも似たような言葉を使っていたんだ。
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 ウルトラマンサレン 本編

4 Comments

はるか&かのんパパ  

この何とも言えない予兆がたまらないですね。
ことろで、SICですが、日本語的に発音すると「シック」ですか?、されとも「サイク」ですか?
科学が進歩するといつかは地球人自身の防衛組織で怪獣や超獣、大怪獣、さらには侵略宇宙人を撃破できるようになるかもしれませんが、著者の意図は
「メテオール」(ウルトラマンの力に応えるための地球人類の科学力以上のオーバーテクノロジーという意味で良かったでしょうか?)という言葉に凝縮されているような気がします。
これからの展開に期待しております。

2010/05/30 (Sun) 23:04 | EDIT | REPLY |   
サレン">

サレン  

予兆

はるか&かのんパパさん、コメントありがとうございます。

自分なりに頑張った作品です。

SICはシックと読みます。
頭の中にお話はあるんですが、文章にするのは難しいです……。
けど、頑張ります!!

2010/05/31 (Mon) 17:50 | EDIT | サレンさん">REPLY |   

リュウタ  

面白いですね。この調子で頑張ってください。

2010/10/01 (Fri) 21:47 | EDIT | REPLY |   
サレン">

サレン  

Re: タイトルなし

リュウタさん、コメントありがとうございます。

ありがとうございます!!
ウルトラ検定も終わり、落ち着いてきたので、続きも再開しようと思います。
ありがとうございます。

2010/10/03 (Sun) 19:57 | EDIT | サレンさん">REPLY |   

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